開発途上国と呼ばれる国へ2年間、その国の発展のサポートを行っている青年海外協力隊。
そんな青年海外協力隊の選考試験を合格し、実際に開発途上国に派遣される前に研修として行われている「派遣前訓練」では、青年海外協力隊としての知識を得る事や実際に開発途上国で使える言語能力の習得など、様々なことを学ぶ場所となっています。
派遣前訓練は”協力隊員の最初の関所”とも呼ばれたりするほど、内容の濃い研修であることは間違いなく【貴重な経験】になることは確かです。今思えば非現実的だったと思える「派遣前訓練について」詳しくお話していきます。
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大学(びわこ成蹊スポーツ大学)卒業後 ▷ 教員として勤務 ▷ 青年海外協力隊、アイルランドへワーキングホリデーなど計3年半の海外生活を経験した後、地元沖縄にて水泳のインストラクターとして働きながらブログを運営しています。
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1:元協力隊が教える!「派遣前訓練」とは一体??
派遣前訓練メモ
【派遣前訓練】:協力隊の選考試験に合格した方が、実際に発展途上国に派遣される前に参加する訓練(研修)
【訓練の内容】:
・JICAボランティア事業についての基礎知識
・ボランティアにとって必要なスキル
・派遣先の国で実施に使用する言語」等の習得
【訓練期間】:約2カ月半(訓練の期間の変更の可能性あり)
【訓練が行われる場所】:派遣される国によって場所が異なる(2か所の訓練所が存在)
・福島県(二本松訓練所)
・長野県(駒ヶ根訓練所)
以上が派遣前訓練の簡単な紹介です。
派遣前訓練では
世界各国へ派遣される予定のボランティア候補生との共同生活を行いながら、【ボランティア意識の構築】【コニュミケーション能力の向上】などの目的も含まれています。
-訓練の入所式の様子-
-二本松訓練所の様子-
僕が実際訓練を受けていた福島県の二本松市にある訓練所。施設はすごく綺麗で運動場や体育館など運動を行う施設も併設しています。最寄りのコンビニまでは徒歩30分程度かかるほど山の中にありますが、訓練所内には自動販売機や週に1,2回文房具や簡単な食品(お菓子など)を販売に来る方なども存在しています。
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2:派遣前訓練の内容について
【僕の体験】も含めながら、派遣前訓練の内容についてお話します。
①: 訓練中の基本的な1日のスケージュール
派遣前訓練中の主な1日のスケジュールについてご紹介します。
主な1日のスケジュール
- 朝6時:朝礼/ラジオ体操とランニング
- 朝7時:朝食
- 8時30~11:30:語学の授業①(3時間)
- 11:30~13:00:昼食 / 休憩
- 13:00~15:00:語学の授業②(2時間)
- 15:00~17:00:ボランティアについての講義(2時間程度)
- 18:00~19:00:夕食
- 19:00~22:00:班での活動 / 自由時間(宿題などを行う)
- 22:00:就寝
以上が訓練中の主な1日の流れです。
補足
訓練中のスケジュールは訓練所の場所や定期的に見直し・変更がされる為、ご紹介した内容と異なる可能性があります。
〇 班と呼ばれるチームでの共同生活
【班】:訓練期間中に一緒に協力しながら生活していくチーム的な存在
訓練開始直後から派遣される国・職種(自分の活動する内容)や年齢などもバラバラな方たちで編成された15名程度の1グループとした”班”と呼ばれるチームで、訓練期間の間共同生活を行います。
-僕の班の様子-
訓練所での生活はシェアハウスの様な形態になっており、1人1部屋個室が用意されていますが、それ以外の施設はすべて共用となります。また個室の扉を出たすぐそこには談話室と呼ばれる居間の様な部屋も併設されていて、そこで班のメンバーと他愛も無い話から真剣な話まで行われています。
-談話室の様子-
理由
上記でも紹介した忙しいスケジュールを日々こなすこととなる派遣前訓練。勉強などのストレスも大きくかかる中、班での関係性が悪くなってしまうと2重のストレスになり生活するのがすごくしんどくなります。班のメンバーとの関係性が良ければ、互いのストレス・悩みなどを共有でき楽しい訓練になる可能性が高まるため。
〇 訓練中の最大の難関である語学訓練
【語学訓練】:派遣予定の国で使われている言語を、実際に外国に派遣されてからすぐに活動・生活ができるようなレベルを目標に、派遣前訓練中に行う語学トレーニング
補足
派遣前訓練では派遣される国の数だけトレーニング言語があり、英語・スペイン語などのメジャーな言語を始め、アラビア語・タイ語や僕がカンボジアで使用していたクメール語などのマイナーな言語もトレーニングの対象です。
この派遣前訓練での語学トレーニングは「日本で1番の語学学校」と呼ばれる程、語学のトレーニングの質・量とともに徹底されていて... 普段語学を学ぶ場所に1歩でも足を踏み入れたら「日本語禁止」の看板が掲げられています。
-日本語禁止の看板-
注意ポイント
語学を学ぶ場所では、休み時間であろうと「日本語厳禁」です。
”常に自分の学ぶ言語でコニュミケーションを”という環境づくりが徹底されている為、訓練生はすべて日本人なのですが、日本語以外の様々な言語での会話が飛び交う状況が常にあります。
語学トレーニングの内容
- 午前のセッション:
日常会話(生活で必要な言語スキル)習得を目指したセッション
- 午後のセッション:
自分の専門・活動に必要な語学力の習得を目指したセッション
以上の2セッションが基本的な語学トレーニングです。
補足①:各自で現地での活動・目標も異なる為、2つのセッションそれぞれ講師の先生・授業を受ける訓練生も異なります。
補足②:協力隊選考試験に申し込む際に自身で報告した語学能力+訓練初日に行われる語学力テストの結果を基にクラス編成が行われています。
-午前のセッションのクラス-
-午後のセッションのクラス-
参考
午後のクラスに関しては、出来るだけ自分自身の専門に近い訓練生同士が1つのクラスに編成される為、語学レベルはピンキリです。
青年海外協力隊に参加する方のバックグラウンドが凄い方が多く、「帰国子女」「有名大学卒」「数種類の言語を話せる」など様々なバックグラウンドを持った方がいらっしゃるのですが...そんな方たちもヒーヒー言うほど「毎日課題として出される鬼の量の宿題」もこの語学トレーニングの特徴です。
補足:英語学習者の方は、午前・午後とで授業内容・講師の先生が違うため、毎日2つのクラスから大量の宿題が出されることも少なくありません。英語力が低い訓練生は特に毎日必死に食らいつきながら、語学トレーニングと戦っています。
僕の場合
訓練の最初は簡単な日常会話を話すことですらチグハグでしたが、語学トレーニングの後半に近づくにつれ、英語を話すことへの抵抗が無くなり「自分の気持ち・考えがある程度伝えられるレベル」まで向上させることができました。
〇 個性沢山の人と関われる環境
派遣前訓練中に凄く素敵な要素の一つに「個性ある沢山の人と関われる」
理由
年齢もこれまでのバックグラウンドも全く違う約100~150人程度の人が、同じ施設で共同生活を行いますが、協力隊という同じ目的を持つもの方たちなので、目標・考えの共有が凄くできる空間があります。
通常の生活の中で、新しい方に毎日会う事・深い話をすることも少ない中、毎日そのような機会に恵まれている派遣前訓練は凄く非日常的な印象も感じるとともに、訓練に参加してよかったなと感じる瞬間でもあると思います。
-同年代の会-
-有志で自由時間を使ってのバレーボール-
同じ時期にこんなにもたくさんのバックグラウンド、年齢、個性を持った人と関われる場所はここだけではないかな?と感じるほど濃い出会いが訓練所ではあります。
〇 訓練期間中の食事について
【訓練期間中の食事】:毎日3食、栄養管理がしっかりと行われた食事が提供されます。
朝・昼・晩と3食和食を中心とした栄養管理が徹底された食事が訓練所では提供されます。また味もすごくおいしく調理されていて充実した食事が食べられます。
-多国籍料理の日-
3:一生の思い出になること間違いなしの「派遣前訓練」
青年海外協力隊の選考試験に合格をし、実際に発展途上国に派遣される前に参加することとなる派遣前訓練。”JICAボランティア最初の関所”と言われることもありますが、「凄く思い出に残る時間」になることは間違いないです。
理由
「毎日の忙しいのスケジュール」や「語学トレーニング」+訓練内でのルールや制限がかけられていたりとストレスを感じることも多くありますが、それ以上に【沢山の個性的な方】【これからも繋がっていきたいと感じる仲間】との出会いがある。
約2か月間必死に勉強し習得した語学力なども「派遣前訓練で得たもの」の大きな1つではありますが、それ以上に【人との出会い】という要素がこの派遣前訓練で感じた大きな思い出です。
-訓練の修了式の様子-
今思えば、「何て非現実的な75日間だったんだろう?」と思えるほど、毎日が充実したくさんの仲間たちと出会えた時間でした。
この派遣前訓練は青年海外協力隊に参加する人だけが味わうことのできるモノであり、【協力隊に興味のある方】【これから派遣前訓練に参加予定の方】に少しでもこの記事がお役に立てていれば幸いであると同時に、充実した派遣前訓練が遅れます事、願っています♪
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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YOSHI@